綿矢りさ「蹴りたい背中」
文藝春秋3月号に掲載。
芥川賞受賞作である。デビュー作の「インストール」同様、今回の作品も女子高生の話。
主人公の女子高生といわゆるオタクな男子生徒、クラスの中で仲間を作ることが出来ずはみ出しがちな存在の二人を中心に物語が展開する。恋愛に発展するのかなと思うと思いっきりはぐらかされる。書いてる方もその辺は計算済みみたいだけど。
ストーリーにいわゆる起承転結はあるんだけど、それほどカチッとは決まってなくて、ゆらゆらするような感じ。そのゆらゆら感が少女の心のゆらぎみたいなものと妙にフィットしてるのかなと思った。あと、自分が考えてた自分の姿と他者が客観的に見ていた自分の姿を対比させるところなんかが鋭いなと感じた。この作品を読むと前作は幼かったんだなというのがなんとなくわかる。私のレベルだとあくまで、なんとなく、だけど。
「インストール」は女子高生の書いた女子高生の話で今回の「蹴りたい背中」は女子大生が書いた女子高生の話。次はどうなるんだろうね。
芥川賞なんかとっちゃうと、もう就職活動なんてしなくてもいいんだろうな。でも履歴書の賞罰のところに「第130回芥川賞受賞」なんて書いちまうのもけっこう渋くていいかもしれない。
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