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2007.07.10

山崎ナオコーラ「カツラ美容室別室」

『文藝』2007年秋季号収録の中篇。63ページ。

独身男性サラリーマンの主人公が高円寺に引っ越して来て、高円寺にある桂美容室別室(店長がカツラ使用)なるところが舞台に恋愛未満の男女の友情劇が繰り広げられるというストーリー。

登場人物の設定が結構ハッキリしていて、ちょっとテレビドラマっぽい雰囲気もある。『文藝』みたいな純文学的ではなくてもっとエンターテインメント性の強い雑誌に掲載されていても違和感無いような感じ。あー、でもこの恋愛とも友情とものどっち付かずさは純文学の範疇が一番近いのかね。

それにしてもこの作者、含蓄たっぷりなフレーズ連発には参った。

段ボールの断面に出来ている穴の、ひとつひとつに寂しさが詰まっているのが見える。夜中に、細長い虫のような寂しさが、その穴からニョロリと出てきそうだ。(P.136)
オレは他人によってなんとか自分の形を保てている。他人と会わないでいたら、オレはゲル状になるだろう。(P.148)
疲れる女といるよりも、アパートで牛乳を温める方がいい。(P.171)
あーあ。エリと一回ぐらいセックスしてみたかったな。今となっては、夢の中でもしそうにねえな。(P.179)
男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。恋愛っぽさや、面倒さを乗り越えて、友情は続く。走り出した友情は止まらない。(P.184)

はっきり言って超面白かった。現在ここまで完成度の高い小説を書くことの出来る作家は山田詠美しか思いつかないなあってえくらいベタぼめしたくなるような作品だったかと。男心を見事に描く女流作家ということでは両者とも共通してるしなあ。でもこういう小説っていうのは芥川賞とかは穫らないんだよね。(^^;

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