津村記久子「カソウスキの行方」
『群像』9月号収録の小説。芥川賞候補作品。
本社から離れたところにある倉庫に左遷のような形で異動させられてしまったOLが主人公の話。そこの倉庫で仕事をしているある男性のことを好きになったということを仮定してみるという「仮想好き」(カソウスキ)をしてみるが、しばしばその人を好きだったということにしていることを忘れてしまったりといった内容。
主人公の妙に冷めた視点が淡々と語られていたりするところなんかは宮崎誉子の小説に雰囲気近いかなと。年齢をちょっと上げたような感じだけど。
ちなみに主人公のイリエという名前が姓なのか名か注意しながら読んだつもりだったんだけどそれを決定づける根拠みたいなものは見つけられなかった。ちなみに他の登場人物は森川、藤村、山野、しおり、などなどで姓名ごっちゃである。
これで、今回の芥川賞候補作7作のうち手元にあった6作品を読むことが出来た。こういう時に限って読んでない田中慎弥の「切れた鎖」が受賞をしちゃったりするのかな?(^^; ちなみに個人的にいちばん面白いと思ったのは山崎ナオコーラの「カツラ美容室別室」だけど、芥川賞ということを考えると受賞してほしいのは川上未映子かなあ。
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