2008.07.03

第139回芥川賞候補作品

朝イチで芥川賞直木賞の候補作品が発表されていた。芥川賞の候補作は以下の7作品。

 磯崎憲一郎「眼と太陽」(文藝夏号)
 岡崎祥久「ctの深い川の町」(群像6月号)
 小野正嗣「マイクロバス」(新潮4月号)
 木村紅美「月食の日」(文學界5月号)
 津村記久子「婚礼、葬礼、その他」(文學界3月号)
 羽田圭介「走ル」(文藝春号)
 楊逸「時が滲む朝」(文學界6月号)

今回は芥川賞候補作のうち読んだことがあったのは羽田圭介の「走ル」だけだった。ただしこの作品は芥川賞って感じじゃないと思ったので、きっと他の6作の中から選ばれるんじゃないかな…とかなんとか言ってると「走ル」が選ばれちゃったりするんだけど。(^^; 羽田圭介は高校生の時に書いたデビュー作(「黒冷水」)が衝撃的だったけどな。

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2008.06.26

絲山秋子「ラジ&ピース」

群像』(雨宮処凛の連載エッセイ「プレカリアートの憂鬱」が終わっちゃったのが残念だ)7月号巻頭に収録の小説。

東京の小田急線沿線出身で都内の大学を卒業後に仙台のFMラジオ局で一定期間番組を担当していた女性アナウンサーが今度は群馬のFM局に転職、そこでのラジオパーソナリティーとして活躍や知り合った人とのやりとり、あるいは実家の家族やかつての恋人とのやりとりや想いが描かれたもの。主人公はなかなか他者に対して心を開かない人物という設定だったようなので、最初は本谷有希子の小説みたいなのかなと思ったりなかしたんだけど、読み進めたら全然違っていくらなんでもそこまではひねくれてはいなかった。(^^;

2年前の芥川賞受賞作の「沖で待つ」はぽあーっとした感じで今ひとつピンと来なかったんだけど、この作品は読みやすかったしそれなりに面白かった。あいかわらずあっさりし過ぎているような気がしないでもないが、そういうのも悪くはないし、「沖で待つ」ほどは他人行儀な小説ではなかった。

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2008.06.23

村松真理「花咲く屋根の家」

三田文学』春季号収録の小説。

妹の娘を養子として育てた母と成人し社会人になった娘の話。転職とともに古い家を購入して住んでいる母親と、そこに泊まりに行っている娘の視点から語られている。読んでてなんかピンと来なかったけど。舞台はおそらく熱海とかそっちの方面なんじゃないかなと推測。

「弁当じゃなくてラーメンにしたのはあまり寒いからだ。」(p.7)ってのは日本語が変なように感じられるんだけど、校正ミスなのかな?

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2008.06.11

山崎ナオコーラ『論理と感性は相反しない』

406214588X論理と感性は相反しない
山崎 ナオコーラ
講談社 2008-03

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書き下ろし小説。体裁としては短編集なんだけど、それぞれの短篇がゆるく関連し合っていて、イメージとしてはロックのコンセプトアルバムみたいな印象。ボーカルの無いインストみたいな曲のような短篇もあるし。人物を描写する時に名字を使うのは作者が意識的にやっていることと思われるが、A子、B男みたいに名前で書いてくれた方が性別の区別をしやすくて読み手としては楽だろうけど。

本の帯に「これが私の代表作です」って書いてあるんだけど、冗談じゃない。(^^; これから本当の代表作を書いてもらわなくちゃ困ります。

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2008.06.09

吉田豪『バンドライフ―バンドマン20人の音楽人生劇場独白インタビュー集』

4862016146バンドライフ―バンドマン20人の音楽人生劇場独白インタビュー集
吉田 豪
メディアックス 2008-04

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たぶん全員オーバー40のロックなバンドマンへのインタビュー20連発。森若香織、氏神一番、関口誠人、ダイヤモンド☆ユカイ、水戸華之介、中山加奈子、阿部義晴、いまみちともたか、BAKI、石川浩司、サンプラザ中野、サエキけんぞう、NAOKI、KERA、仲野茂、MAGUMI、KENZI、イノウエアツシ、DYNAMITE TOMMY、大槻ケンジが登場。

外から見ると華やかそうに見える世界なんだけど、よほど売れない限りはみんな相当な薄給のようで、本当に好きでなくては続けることの出来ない世界なんだなと感じた次第。あと、インタビュアーの吉田豪って人がこのジャンルの実に細かいところにまでものすごく詳しいことに感心した。

ニューロティカのアツシはフォトセッションがあるってことを聞かされていなかったらしくて(とライブで言っていた)、素顔で写っている。(^^;

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2008.06.06

慶應スポーツ

慶応スポーツ

三田キャンパスに行って今さらながらの早慶戦号をもらって来た。最終面の企画「六大学応援席への決死の潜入」が慶大生が慶大学生席に潜入してどうすんのさ、みたいな感じでくだらなくて面白かった。ソッカー部もリーグ戦絶好調ということで扱いが大きい。

慶早戦

キャンパスに各種スポーツ競技の慶早戦宣伝&「若き血」の歌詞のポスターが貼ってあった。「若き血」は歌詞見ながらだったら歌えちゃうな。「紺碧の空」の方が百万倍いい曲だけど。(^^;

さあ、はずかしがらないで!

こりゃてんこもりだね。

ポスターの隅っこにお茶目は一言が書いてあった。

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2008.06.05

本谷有希子『ほんたにちゃん』

4778311167ほんたにちゃん (本人本 3)
本谷有希子
太田出版 2008-03-20

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意識的なのか無意識なのかはわからないが、結果的に世間と大きくズレてしまっている自意識過剰女の話。内容的に本谷有希子の自伝的小説だったりするのか?自分は特別な存在であるに違いないという思考パターンとそれから導き出される行動の勘違いぶりが大槻ケンヂの十代の頃に似ているような気がしないでもない。クリエーターとして成功する人は大なり小なりこんな感じじゃないといけないのかな、などと考えながら読んだ。

小説としては勢い先行型のようだけど、でもそれが面白くしている部分もあるのかな。

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2008.05.30

多田真梨子「にずわい」

三田文学』春季号収録の第15回三田文学新人賞当選作。(登場する土地的に慶応と思われる(^^;)大学で国文を専攻する女子大学生が同じ大学の理系の男子学生のところに棲み着く。彼女がバイトで教えている塾の教え子の高校生男子も出て来て、かなり唐突な印象で話が展開したりなんかして、ちょっと唐突すぎるような部分もあったけど、それも含めて割と面白かったかな。にずわいというのは彼女の母親が得意とする故郷の料理とのこと。ググっても「ずわいがに」関連のものしか出て来ないけど。(笑)

同号に収録されている選考座談会での荻野アンナの発言が的確かついい加減で面白い。

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2008.05.08

松井計『家に帰らない男たち』

4594055931家に帰らない男たち (扶桑社新書 23) (扶桑社新書 23)
松井 計
扶桑社 2008-02-29

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仕事が忙しくて家に帰らない男、流行の(?)ネット喫茶難民、家に帰るのが怖い男性、週末結婚、愛人との二重生活者など6名の「家に帰らない男たち」を題材にしたルポルタージュなんだけど、家に帰らないという行動にに至る理論・心理構造がどうにも理解出来ない。彼ら自身も彼らの行動を正当化するまでの理論立てた説明は出来ていないようだし。

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2008.04.23

谷崎由依「満ちる部屋」

WB vol.012_2008_spring収録の短編小説。

大学で留年した女性が主人公の模様。小説の中で出て来るのは留年大きな蛾の死骸、留年したIという男性とIの部屋、すでに他界している女性の曾祖母、部屋に立ち上がる影、などなど。

非常に難解な印象。影は幽霊なのだろうか。主人公の女性も影になってしまうのだけど。

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2008.04.10

侃侃諤諤

春のいんうつ未映子の純粋悲性批判

群像今月号の侃侃諤諤、確かに面白い。
先月の文學界の座談会を読んでないとわからない部分もありそうだけど。

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2008.04.08

黒田紫『先生はプロチアリーダー!―子持ち・バツイチ・44歳』

4837670598先生はプロチアリーダー!―子持ち・バツイチ・44歳
黒田 紫
マキノ出版 2006-06

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日産スタジアムのマリノスホームゲームでチアリーディングを見せてくれているトリコロールランサーズの黒田先生が2年前に出された本。アマゾンに在庫があったので買って読んでみた。住吉高校でスタートしたランサーズはマリノスの前はプロ野球マスターズリーグ(大沢親分がこの本の帯たたきを書いている)で活躍していたのは知っていたけど、その前にも湘南ベルマーレや横浜ベイスターズの試合でもダンスを披露していたそうで、それは知らなかった。ちなみにこの本が書かれたのはマリノスと絡む前の時点のようで、マリノスについては一言も言及は無し。

黒田先生は結構テンションを高く保ち続けるような生き方をされて来た方みたいで、それが長く続けば身体を壊したり、こころを病んだりするのも理解出来るような。あまり無理のかからない程度に頑張ってほしい。直前に著作を読んだ香山リカの他人に甘く、自分にはもっと甘い(^^;というずぼらな人生観とのコントラストがある意味印象的でもあった。

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2008.04.07

香山リカ『精神科医ですがわりと人間が苦手です』

4479781803精神科医ですがわりと人間が苦手です
香山 リカ
大和書房 2008-03-19

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毎日新聞の東京版への連載が書籍化したものだそうで、この本を読むと著者の香山リカは自らのことを成り行きで精神科医になったずぼらでいい加減な出来の悪い人間のように書いているけど、アマゾンで香山リカを検索すると山のように著作が出て来るわけで、書いてあることとは裏腹に相当にデキる人だよな。

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2008.04.03

井上譲二『プロレス暗黒の10年』

4796661166プロレス暗黒の10年
井上 譲二
宝島社 2008-02-02

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プロレスの低迷とともに休刊に追い込まれたタブロイド紙「週刊ファイト」(読んだことがなかったりするけど)の元編集長による著作。

新日本プロレスの低迷がプロレスの低迷につながっているとし、その原因を総合格闘技の台頭、新日内部でのゴタゴタによる分裂、そしてミスター高橋の暴露本による影響と位置付け、それらについての解説が淡々と加えられている。特段暴露っぽいような内容な含まれていない。

なんかよっぽどのことが起きない無い限りはプロレス業界は先行きは相当暗そう。

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2008.04.01

川上未映子「戦争花嫁」

4778311213早稲田文学1
川上 未映子 蓮實 重彦 中原 昌也
太田出版 2008-04-01

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今日発売の『早稲田文学1』収録の短篇小説…というよりは散文詩かな。まあそのへんの線引きはどっちでもいいけど。6ページの短い作品だけど、雰囲気的には『先端で、さすわさされるわそらええわ』っぽい流れのようだ。作品中に「発語」という単語が多用されていて、この言葉はどれだったか忘れちゃったけど彼女の他の作品でも読んだような記憶があるわけで、こういった哲学の言語学に近いような領域を得意分野にされているようだ。

早稲田文学1・巻頭グラビア

ちなみに『早稲田文学1』は川上未映子がどどーんと表紙/裏表紙&巻頭グラビア8ページ(しかも撮影は篠山紀信だそうだ)の後にこの作品で、ちょっと未映子バブルな早稲田文学だったりする。

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2008.03.12

GraveGrinder「原形を留めていようが、いまいが」

群像』4月号収録。「新鋭13人競作」なる企画の中の一遍。

女性が主人公。彼女が仕事で外国に行っている間にもともと自殺傾向を持っていた夫が本当に自殺をしてしまい、それを発見した女性がメスで夫の身体を切り刻み、フードプロセッサーでミンチ状態にして、それに湯を加えた風呂(のようなもの)に入浴するというもの。途中で彼女は眠りから目覚め、行為の一部は夢ではあったものの、夫の自殺は(小説の中では)事実であり、事後処理に奔走するというあらすじ。

もともとこの人の小説は痛いものが多いんだけど、今回の作品は痛さを超越してスプラッター系に行っちゃっているようで、読んでてウヒャーって感じの作品に仕上がっている。

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2008.03.11

小石丸佳代「ダンス」

第38回九州芸術祭文学賞最優秀作ということだそうで、『文學界』4月号に収録。

博多のパブで開かれたサルサのダンスパーティーの模様が参加した40代の女性の視点から描かれている。男性と組んでダンスをする場面が克明に描写されていて、頻繁にパートナーチェンジする様子が人間模様あるいは生き方といったものにオーバーラップさせてるっぽい。

文章はなんとなく読点が多いような印象だったけど、こんなもんなのかな。

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2008.02.29

詩なのか?それとも小説なのか?

川上未映子の作品、「感じる専門家 採用試験」は散文詩、『先端で、さすわさされるわそらええわ』は詩集ってことらしいけど、どちらも短編小説のようにも読むことが出来る。「わたくし率 イン 歯ー、または世界」や「乳と卵」はいずれも芥川賞がらみということもあって小説ということになっているようではあるが長い詩のようにも思えなくもないわけで(そういった意味では「あなたたちの恋愛は瀕死」ってのはかなり小説っぽい手法をもって書かれているのかなという印象)、これは一体なんなのだと考えていたところで、『群像』3月号で諏訪哲史が『先端で、さすわさされるわそらええわ』について書いた書評(「もしも言葉が液体であったなら」)に答えが載っていた。とどのつまりが彼女の作品に対して「詩」とか「小説」といった「枠」を与えるなんてことはどうでもいい行為なわけで、彼女から発せられる言葉の洪水に身を委ねてしまえばよいようである。ポンパ!

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2008.02.28

原田宗典『し』

4344410912し (幻冬舎文庫 は 1-8)
原田 宗典
幻冬舎 2008-02

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幻冬舎文庫。読み方が「し」の漢字にまつわることについて綴ったエッセイ集。その昔、たまたま新丸子の本屋で買って読んでみた「十七歳だった!」ってのがそらもうとてつもなく面白くて、それをきっかけにこの人のエッセイや小説を読みまくっていた時期があったんだけど(エッセイのほのぼのさと小説の生真面目さのコントラストが面白い)、久々に読んだ。エッセイ的には当時のハチャハチャ感はなくなっているような気はするけど、トホホ感というかそういった雰囲気は今も健在なようだ。

最初の方で「詩」→「歯」ときた時は川上未映子かと思った。

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2008.02.27

川上未映子『先端で、さすわさされるわそらええわ』

4791763890先端で、さすわさされるわそらええわ
川上 未映子
青土社 2007-12

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芥川賞受賞のちょっと前の昨年末に出ていた作品。川上未映子初の爆誕詩集!とのことで『ユリイカ』収録のものが4篇、書き下ろしが3篇なのであるが、そのうちの特に「少女はおしっこの不安を爆破、心はあせるわ」、「ちょっきん、なー」、「告白室の保存」といったあたりの作品はストーリーもきっちりしていて詩というよりも小説とカテゴライズしてしまっても構わないような気もする。その他の収録作品も詩と小説との間で限りなくボーダレスに近い文章だと思うので、詩とか小説とかは意識せずに、文学作品として楽しむのが良いかと思った次第。

最初、川上未映子の作品は独特の文体がとっつきにくいような印象だったんだけど、読み倒して行くうちにそのリズムに慣れてきたんだかなんだか、だんだんと快感になって来ているような気もするし、実は文章が輝いているんじゃないかと思えなくもなくなって来た。この著作の中では書き下ろしの「ちょっきん、なー」が傑出の出来なのではないかと思う。終盤の痛さは金原ひとみ的というかGraveGrinder的というかそういう感じに似ているような気がしないでもないけどやっぱりちょっと世界観は違うものがあるか。

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2008.02.26

山崎ナオコーラ『指先からソーダ』

4022503106指先からソーダ
山崎 ナオコーラ
朝日新聞社 2007-07-06

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山崎ナオコーラのエッセイ集。読みたいと思っていた本なんだけど、なかなか書店に置いてあるのを見つけられなくて、アマゾンに注文しようかと思っていたところで渋谷のリブロで発見したので(平積みだった)、早速購入して読んでみた。

知らなかったんだけど、朝日新聞の土曜版に同タイトルで連載をしていたそうで、それに加筆修正をしたらしきものが3分の2くらい。残りは「書評/解説」というのがちょこっとと、その他各所に書いた文章をかき集めてきて「そのほかのエッセイ」としたものも収録。

新聞連載の部分は文字数の制限のためか、捻りをきかせる前にあっさり終わっちゃうような文章が多かったような気がしないでもない。『群像』2月号に収録されていた「長い終わりが始まる」は大学のマンドリンサークルについてののすごく詳細に書かれていてすげえなと思ったら、筆者の体験に基づいたものだったってことをここの文章を読んではじめて知った。

「そのほかのエッセイ」の中の「恐るべき「小鳥道楽」」で埴谷雄高という作家について言及されていて、埴谷雄高という名前は川上未映子の『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』でも随所に出て来る名前なので、意外な共通点を見つけたような感じがしないでもない。

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サイン会整理券

乱暴と待機

渋谷のリブロ本谷有希子の新刊を買ったらサイン会の整理券がもらえたんだけど、よく考えたらマリノスのJリーグ開幕戦@日産スタジアムのキックオフと同日同時刻なわけで行けないじゃん。(^^;

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2008.02.25

劇団、本谷有希子『偏路』の公演プログラム

劇団、本谷有希子『偏路』

この時に売っていたプログラムを見直してみたんだけど、ものすごく凝った作りになっていたみたいたことに今さら気がついた。

本谷有希子の挨拶、キャスト紹介、対談(辛酸なめ子×本谷有希子)、劇団、本谷有希子と本谷有希子の歴史年表、対談(近藤芳正×馬渕英俚可)、座談会(池谷のぶえ×加藤啓×江口のりこ×吉本菜穂子)、吉田大八、佐々木敦、本谷文雄(本谷の父)が書いた文章。これに加えて戯曲(脚本)自体も収録されている。読み物としても面白いし、演劇を作るのと同じくらいのパワーがかかりそうな力作だった。

ちなみに写真のと白・ピンクが逆のものの2バージョンが販売されていた。中身は同じとのこと。

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2008.02.22

前岨・早坂・石塚『そのブログ!「法律違反」です』

4797344210そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない知的財産権のルール (ソフトバンク新書 66)
早坂 昌彦 石塚 秀俊 前岨 博
ソフトバンククリエイティブ 2008-02-16

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もっとネット(特にブログ関係)の法律に特化した内容なのかと思って買って読んでみたらそうじゃなかったみたいで、ブログの話はちょこっとだけで、ほとんどが商標、著作権、特許といった知的財産の管理の話がほどんどで、なんかタイトルに偽りありみたいな感じだったみたいで、想像していたものとは違う方向性のものでちょっとガッカリだった。

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2008.02.20

野村克也『あぁ、阪神タイガース』

404710132Xあぁ、阪神タイガース―負ける理由、勝つ理由 (角川oneテーマ21 A 77)
野村 克也
角川書店 2008-02

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出たばっかりの本。内容的には同じ角川oneテーマ21の『巨人軍論』の続きみたいなもののようだ。阪神を勝たせることが出来なかった反省、その他。ノムさんの言っていることは『野村ノート』なども含めて終始一貫していて、特に目新しいことは書かれてはいないんだけど、これを読むと自分はずいぶんとひどいチーム(負けるべくして負けていた)を長年応援していたんだなと。(^^;

「チームのためになにをすべきなのか、何ができるのか」、言い換えれば「勝つためには自分はどのように役立てばよいのか」を第一に考えて試合に臨むべきなのだ。(p.123)

っていうのは野球に限った話ではないっすよね。

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2008.02.15

川上弘美「貝殻のある飾り窓」


yom yom ヨムヨム十二月号 vol.5

『yom yom 5』(新潮社)収録。休日に雨の写真を撮っている女性会社員を取り巻くエトセトラ。写真を撮っている時にちょっと変わったおばさんを見かける。おばさんは近所の喫茶店で働いていることが判明、女性はさして魅力があるわけでもないおばさんの写真を撮らされることになる。それと同時に偶然目撃してしまった職場結婚をした同僚夫婦の夫と後輩女性との不倫関係についてがパラレルで語られいて、そういった事柄を通して主人公に起こったちょっとした変化が描かれている。

おばさんのちょっと一筋縄でいかない行動・言動が作品内でいいアクセントになっているようだ。

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川上未映子の字

すばる3月号「扉」

すばる3月号の「扉」を書いている。達筆やね。原稿用紙のマス目は無視しとるけど。(笑)

なんでも一晩でマスターしたそうで、ホンマかいな?

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2008.02.14

文藝春秋の中吊り広告

文藝春秋の中吊り広告@山手線車内

山手線車内にどーんと川上未映子の顔写真。ビジュアル系文筆歌手である。なんか予想通りの展開になっているな。

「現代の樋口一葉」だそうで(池澤夏樹が言ったの?)、確かに文章のリズム感に共通点があるかもしれない。リズム感だけだと、町田康も似ているような気がしないでもないけど。

「乳と卵」の感想はこちら

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角田光代「こうもり」


yom yom ヨムヨム十二月号 vol.5

『yom yom 5』(新潮社)収録の小説。はとバスの中で読んだ。

かつてミュージシャンだった男性がスナックで働く女性と知り合う。女性は劇団に所属していて言動・行動が不思議ちゃん的な人。いつの間にか彼女が男性のマンションに居着いてしまうのではあるが、二人の関係が一進一退ではっきりしないような状態が続いている間に彼女が行方をくらましてしまうというあらすじ。

彼女の行動がわかるような、わからないような、みたいな。ミスマッチ的な二人の関係が上手く描かれていて、そういうところは角田光代の真骨頂のような気がする。

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2008.02.13

林望『新個人主義のすすめ』

4087204278新個人主義のすすめ (集英社新書 (0427)) (集英社新書 (0427))
林 望
集英社 2008-01-17

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合点の行くところも随所に読み取ることは出来るのではあるが、基本的にはイギリス社会での個人主義と著者の今までの生き方をモノサシにしてそれに日本人に当てはめようとしていることだけにしか思えない面も多いような。考察が甘いとかそういうわけではないとは思うけど。

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2008.02.11

川上未映子『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』

4434086367そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります
川上 未映子
ヒヨコ舎 2006-11

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芥川賞作家・川上未映子がブログで展開している川上未映子の純粋悲性批判から抜粋された文章が加筆・修正されて書籍化となったもの。内容的にはエッセイというかコラムというか日記というかそういう感じで書き散らかされた文章の集合体のようなもの。

書き散らかしといっても深い考察に読み応えを十分感じるし、当然ながら文章もきっちりしている。読みながら「我思う、ゆえに我あり」的なデカルトの影響を受けているような印象を受けたんだけど、さようならサボコで「我思うゆえに彼あり」というフレーズが出て来てなるほど合点がいったような感じ。

馬鹿やからなん?では「感じる専門家」という表現が出て来ていて、これが早稲田文学の『WB』に載っていた「感じる専門家 採用試験」につながっているみたいだ。

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2008.02.07

川上未映子「あなたたちの恋愛は瀕死」

文學界』3月号収録。芥川賞受賞第一作だそうだ。10ページの短篇だけど。おそらく受賞前に依頼した原稿が芥川賞受賞後第一作になっちゃたんじゃないかと。

新宿のデパートの化粧品売場で道端で書店で想像を巡らせる女。女は知らない男と出会って性交をすることを堂々巡りのように想像し、毎週のように化粧をして着飾って街に出るが、そのような出会いは無い。道でティッシュ配りをしている男性に声をかけてみたところとんでもない出来事が…というような感じのストーリー。

女の心理描写がメインなんだけど、今まで読んだ川上未映子作品の中ではいちばん自然な感じがしたかな。ちなみに本作品は関西弁ではない。そう言えばこの人の書く文章は町田康と文体というかリズムが雰囲気似ているような気がするし、その点では一貫しているかも。起承転結の転結にあたるところ(1ページ未満のスペースに押し込まれている)がそんなアホな的な想像つかないような展開だったけど。(^^;

ちなみに今号の『文學界』は川上未映子特集っぽくなっていて、対談やら川上未映子論やらなんやらいろいろと載っている。

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2008.02.05

野村克也『巨人軍論』

4047100366巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (ワンテーマ21)
野村 克也
角川書店 2006-02-10

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巨人軍論といいながらいつの間にか巨人軍を題材にした野村監督の野球論にすり替わっているような気がしないでもなかったけど(^^;、まあそれはそれということで。野村監督の野球観は考えに一貫性があってブレがないところは賞賛されるべきであろう(というかすでに賞賛されてるか)。阪神の時は結果出なかったけど。baseball

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2008.02.04

北原保雄『問題な日本語』

4469221686問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?
北原 保雄 いのうえさきこ
大修館書店 2004-12-10

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買ったまま読んでいなかったので、さくさくっと読んでみた。

もしかしてこれはちょっと変なんじゃないかとと思われる日本語の用法いくつかについて、そこに至までの過程を理由付けて説明したもの。「なるほど」って感じるものが多い。

「おざなり」と「なおざり」の区別が付いていなかったので勉強になった。あとやっぱり敬語ってのは難しいものだなとつくづく思った。

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2008.02.03

中原昌也「放っておけば、やがて未来」

文藝2008年春季号収録。

ベッドに横たわる主人公の男性がけたたましい電話の音にも反応しないという場面から始まる。主人公が勤めている会社でとても悲しげな目をした男性を紹介される場面が回想されるのだが、ふたを開けてみると主人公の男性は自宅で死んでいて、それを俯瞰している筆者が放置された彼に未来があるのか見守ってみようかという話。

彼ら「死んでいる」人は、外部からのコミュニケーションに対し、自らの意思で、敢えて無反応を選択しているという可能性はないのだろうか?(p.261)

そんな奴おらへんやろ~、往生しまっせ~(byこだま・ひびき)だな。(^^;

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2008.01.31

中村文則「ゴミ屋敷」

文學界』2月号収録。

交通事故で妻を亡くして全く動かなくなった男がそのまま入院。病院内の各科をたらい回しにされたあげく流動食を口に流し込むと飲み込むことが判明して病院を追い出されてしまう。男性は弟に引き取られる形で家に戻り、若い女性ヘルパーに介護される形で過ごし、ヘルパーに顔に落書きをされてしまったりしている間に意識を取り戻したのはいいが、男は外から鉄くずを拾って来て巨大な構造物を作ってしまい最後には…とうようなあらすじ。

なんとなく昔読んだ筒井康隆のナンセンス小説っぽい雰囲気なのかなと思って読み進めていたんだけど、当初の予想以上にしっちゃかめっちゃかだったような気もするし、それはそれでスリリングだった。

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2008.01.28

田中慎弥「聖書の煙草」

群像』2月号収録。

33歳、無職で母親と2人で横にドブ臭い川が流れる安アパートに暮らす男性がのモノローグで進行。こんなことになってしまったのは父親の棺桶に煙草と破いた聖書の1ページ(ペラペラした紙、特に聖書で包んで吸うと旨いらしい)を入れたための罰なんじゃないかと母親が言っていることから来ている。

男の住んでいる町で強盗事件が起き、警察がアパートを訪ねて来る。自分が疑われていることに気付いた男性はそれを警察が道を決めてくれたと解釈し、犯罪者になろうとするが…といった感じのあらすじ。

最近ありがちの設定の小説ではあるんだけど、伏線が張られた形のストーリー、緊張感のあるディテールに凝った描写、主人公の中に潜む狂気などなど、なかなかスリリングだった。

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2008.01.25

羽田圭介「走ル」

文藝2008年春季号収録。

八王子に在住の高校生が自宅の物置に眠っていた競技用自転車で都心の高校に行ってみたところ、それがそのまま勢いづいてしまい、陸上部の朝練途中に自転車で走り出してそのまま四号線を北上、北千住・草加・宇都宮を経由して那須塩原に。結局それが止まらなくなってしまい、野宿を続けながら無計画のまま福島・秋田を経由して青森にまで行ってしまうという話。旅を続ける最中に携帯電話・メールを使っての恋人や学校の友人とのやり取りが書かれている。自転車の旅自体に関しては描写は細かいんだけど天候や道路の変化以外それほど起伏があったわけではなくて、ちょっと長く感じたかな。

ちなみに季節の設定が夏休み明けの9月ということのようで、真冬に読んでも雰囲気出ないような気がしないでもない。同じ号に収録の角田光代の小説も真夏の大阪という設定だったし、今回の『文藝』はなんだか季節感がまるで逆のような気がしないでもない。(^^;